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防災編(2)

床上浸水を防ぐ、とっておきの方法(その2)

 

前回は、床上浸水対策について、単純に床を高くすればよいのに、河川の近辺でも、そうしている家がほとんどないこと、そしてそれについて、床を高くしようということを、建築主も設計者も施工者(工務店やハウスメーカー)も言わないことを書きました。

今回は、なぜ言わないのかを考えてみます。

 

(1)建て主(ユーザー)・・・思いつかない。思っても専門的なこと(構造的なこと、法的なことなど)がわからないので、言わない。

 

(2)設計者(設計事務所、建築家)・・・防災の意識が少なく(デザイン的なことのみに力が入って)、土地の条件(どんな災害の危険があるか)などを、きちんと調べないので、その危険性を認識していない。また床を高くすると、それに伴って、上部の立体的設計に工夫を要するので、したくない、できない。

 

(3)施工者(工務店、ハウスメーカー)・・・設計者と同じく防災の意識が低いことに加えて、床を高くすると工事費が上がったり、施工に手間がかかるので、そういったややこしいことは言わない。特にハウスメーカーの規格型住宅の場合は、規格に合わなくなるので、したくない。また建売住宅では、価格が高くなって売れにくくなるので、そんなことはしない。

 

以上のようなことが考えられます。

 

さて、(2)で「上部の立体的設計に工夫を要する」、あるいは(3)で「規格に合わなくなる」ということを書きましたが、それは具体的にどういうことなのかを説明したいと思いますので、図を見てください。

 

(図1)は、床の高さが一般的(地面から55センチ)の家です。方位は図の右方向が北、左方向が南と考えてください。樹木を書いているあたりが、建物の南側の庭になります。

屋根の上に、屋根面と平行に斜めの一点鎖線を書いていますが、これは住宅地で一般的な高さ制限のラインで、建物はこれの内側に納まらなければなりません。

 

 

 

さてこれを、床の高さを地面から120センチまで上げたのが、(図2)です。建物の一部が、高さ制限ラインからはみ出してしまっていますので、これでは建築許可がおりません。

 

 

 

ではどうしたらいいかということで考えたのが(図3)になります。高さ制限ラインからはみださないように、建物の位置(配置)を南側にずらしたのです。こうすれば建築許可はおりますが、南の庭が狭くなってしまい、一方、北側にあまり意味のない空間があいてしまって、せっかくの土地を無駄に使っている感じがします。つまり敷地の有効利用ができていません。

したがって、心ある(設計能力のある)設計者なら、この(図3)のようなことはしません。

 

 

 

ではどうするかというと、その一例が(図4)です。建物の位置(配置)はそのままで、高さ制限ラインをクリアできるように、建物の北側の一部を低くしたのです。その分、建物の南側で高さ制限に余裕のある部分は高くして、使いやすいロフトを設けて、北側を低くした分をカバーしています。

 

 

 

ただ、こんな略図では簡単に見えますが、実際は、構造的なことや法的なことなどで、設計には工夫を要します。単に間取りや外観のデザインを考えるだけでなく、構造や法規に留意しつつ、立体的に空間の構成をまとめ上げる能力(これこそが建築家的能力ですが)が必要になってきます。

したがって、能力のない設計者、経験の浅い設計者、あるいは、やる気のない設計者は、こういったことを敬遠してしまうのです。

また(図4)のような形態は、規格型住宅の規格には、全く合いませんから、ハウスメーカーは、このようなことはしません。無理にやらせたら、規格外続出で、たいへんな高額になるでしょう。したがって、ハウスメーカーがするとしたら、せいぜい(図3)です。しかし、たいていはこれもせず、結局(図1)のようになってしまいます。

 

かくして、河川の近辺であるにもかかわらず、床の低い住宅がほとんどになってしまうのです。

 

こういったことは、なにも床上浸水についてだけではありません。

ごく普通の住宅地においても、「ここがおかしい日本の住まい」ということは、いろいろとあります。

次回は「不同沈下」ということについて、考えてみたいと思います。