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防災編(6)

土砂災害を防ぐ(その2)

 

土砂災害の対策として、先ず誰もが思いつくのが、土砂を防ぐ壁を造ることだと思います。(図1)のような感じですね。

 

 

ただしこの壁は、土砂によってそれ自体が流されてしまっては元も子もないので、よほどしっかりとつくらなければなりません。そうすると、かなり大がかりなものにならざるを得ないので、それよりもむしろ建物の壁で、土砂の直撃を受ける可能性のある部分を、鉄筋コンクリートで造る方が現実的です。(図2)

そうすれば、家の重量全体で、土砂を受け止めることができますし、建物の基礎(地中に入っているコンクリートの部分)と土との間に、大きな摩擦力が発生して建物の移動を抑えるので、(図1)のような単体の壁よりも、ずっと強固になります。

 

 

 

さて、次に考慮すべきことは、土砂の圧力をまともの受けないようにすることです。

(図3)のような形(建物の配置)ですと、土砂の圧力をまともに受けてしまいます。

 

 

 

でも土砂の流れてくる方向は、周囲の状況からほぼ分かりますので、それをうまく逃がす建て方をすべきです。

たとえば(図4)のような建物配置にすれば、建物が受ける圧力を、かなり小さくすることができます。

 

 

 

いかがでしょうか。

このようなことは、ちょっと考えればわかることで、なにも特別は技術や新奇な施工法を駆使しているわけではありません。もしろ、当たり前の工夫といってもよいことです。ところが、明らかな土砂災害の危険地域に建つ建物でも、そのような配慮をして設計している例を、ほとんど見たことがありません。

それは設計にたずさわる者が、防災のことを全くと言ってよいほど考えていない証拠ではないでしょうか。

実際、そのような土砂災害の可能性のある地域へ行くと、まるで、どうぞ押し流してくださいと言っているような建て方をしている家があったりして、唖然とすることがあります。

家とは、そこに住む人の命と財産を守ることが第一の使命であるのに、いい加減な設計が行われているものが、本当に多いのです。

 

上に述べた二つのこと(鉄筋コンクリートの壁と、土砂を受け流す建物の配置)を行えば、家屋の土砂による被害は半減し、たとえ被災したとしても軽微なもので済むことは、間違いありません。

そして、これらの対策は、建築の設計上も工事上も、すこしも難しいことではありません。

 

しかし、そういったことが、現実には殆ど行われていないのは、(もちろん防災面をきちんと考慮して設計された家もあるでしょうが、とても少ないのは、)設計士や施工業者の怠慢あるいは不注意によるところが大きいと思いますが、もう一つ見落とせないのは、やはりハウスメーカーを中心とした住宅の商品化、規格化というところに原因があり、その弊害であると言えると思います。

 

建物の部分部分で構造を変えることを混構造と言います。(図1)のように全体を木造にして、必要に応じて一部を鉄筋コンクリートにするような造りが混構造です。

しかしハウスメーカーの商品化(規格型)住宅は、混構造を前提としていません。

また、建物の平面形状も、矩形(四角形の組み合わせ)であり、斜めの線を使うことはありません。

混構造にしたり斜めの壁を作ったりすることは、規格外であり、できないのが原則で、仮にできたとしても、多額の変更工事代を必要とするものになってしまうのです。

 

これまで述べた「床上浸水」「不同沈下」そして「土砂災害」といったことによる建物の損害、そして当然避けなければならないこれらのリスクに対して、日本の住宅の多くが無防備であり、当たり前の防災設計がなされていないのには、このハウスメーカー型商品化(規格化)住宅の弊害によるところが大きいと言わざるを得ません。

 

このような百害あって一利なしの商品化(規格化)から脱して、日本の住宅は、一棟一棟が、それぞれの敷地条件に応じた、的確な設計がなされるべきだと思います。

住宅の「脱・商品化」「脱・規格化」は、住む人の命と財産を守るという防災の観点からも、今後の住宅の進むべき方向として、きわめて大切なことだと考えます。