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設計編

スタイル音痴

 

世間ではよく「あの人はスタイルがいいね」とか言って、体形のことやファッションセンスのことをほめたりしますが、「スタイル」の本来の意味は「様式」ということです。

たとえば、モダンなスタイルというのは現代的な様式、クラシックなスタイルというのは古典的な様式、ということになります。

ですからその他にも、カントリーとかアンティークとかカジュアルなど、いろいろなスタイルがあります。

日本でも、数寄屋風とか民芸風とか言いますし、そもそも洋風とか和風とかいうのもスタイルです。

つまり「〜風」とか「〜調」とかいうのがスタイルなんですね。

 

そのように、いろんなスタイルがあるわけですが、かんじんなことは、その統一感です。

服装とか建物の各部分を、一つのスタイルあるいは共通性のあるスタイルで統一することが基本です。

これがうまく行われていると、見た目が気持ち良くて、全体として上品で格調高く感じられます。

ところがその統一がうまくできておらず、異種のスタイルが混在していると、服装も建物も、とたんに下品になってしまいます。いくら素材や材料に高価なものを使用しても、いや、そうすればそうするほど、品が悪くなっていくんですね。

ですからスタイルということを意識して、それを上手にコントロールしたりコーディネートすることは、たいへん大切なことです。

 

ところが、これができていないことが多い。

町を歩いていますと、服装などのファッションセンスは素敵な人も多いですが、目を周囲の建物に転じると、かなりひどいものが目につきます。

 

ひとつ例を見ていただきましょう。

休日にドライブをしていて見つけた喫茶店です。

 

g

 

入口まわりの外観、なかなか良さげじゃないですか。それで、入ってみました。

 

 

 

うーん、どうです。おかしいでしょう。

床と壁は素木(しらき:素地の木材)なのに、一方の壁が唐突に石造りになっていて、質感的にも色彩的にも不釣り合いです。

そこにクラシックなスタイルの椅子とテーブル。それらも、それぞれスタイルが違う。更にテーブル自体が、天板は素木なのに、脚部は金属で、いわゆる猫足と呼ばれるデザインで、それ自体、へんです。

要するに、店全体としてスタイルが、ばらばら。

この店のオーナーさんにはわるいですが、そのセンスの無さが、如実に表れています。

 

それに、そもそも出入り口まわりの外観と、お店の内部のスタイルが全然違いますよね。

ということは、この建物の設計者も、スタイル(様式)に対する知識と感覚が欠如しているのではないかと、大いに疑われるわけです。

そのことは、外へ出て建物全体を眺めて、よりはっきりしました。

 

 

 

ご覧のように全体的には石造りの感じなのですが、木の部分もあります。その木の部分が、正面と側面では、スタイルが全く違うでしょう。

特におかしいのは、側面2階部分の横張りの素木(しらき)の部分で、他の部分と、どう見ても合っていません。

意図不明の、ちぐはぐなデザインです。

さらに、よく見ると、石材の質感が正面と側面では違っていますし、正面足元の花壇はレンガで作られていて、ごちゃごちゃしています。

 

なんでこのようなことになってしまったのかというと、早い話が、オーナーも含めて、この建物にたずさわった人たちにスタイル感がないわけなんですが、特に設計者がそれについて、まっとうな感覚と知識を持ち合わせていないというのが主な原因でしょう。

 

実は、かく言う私も、一応は国立大学の建築学科を出ているわけですが、在学中に、スタイルのこととそのコーディネートについて、具体的に教わった記憶がありません。そのような講座がなかったのです。多分、今でもそうだと思います。

私がスタイルについて意識し、それを適切にコントロールしながら設計するようになったのは、パートナーの安田倫子女史がインテリアコーディネーターで、スタイルのことを習得していたからです。彼女と一緒に仕事をするようになって、それができるようになりました。それまでは、スタイルということについて明確な意識をもっていたわけではありませんでした。

 

ですから、設計事務所の看板をあげている建築家や、そのスタッフでも、そういうことをきちんと身につけている人は少ないのではないかと私は思っています。

ましてや工務店の大工さんや、ハウスメーカーの営業マンが、そのような知識やセンスを持っていることは、ほとんど期待できません。

 

このスタイル(様式)についての知識と感覚の欠如が、欧米の住宅に比べて、今の日本の住宅が、なんだかごちゃごちゃして安っぽく、格調が低いことの原因だと思います。

 

でも、逆に言えば、スタイルのことをきちんと考えて設計やコーディネートを行えば、それだけで、そこいらのありきたりの家々とは一味違う、ハイグレード感のある住まいをつくることができます。

ですから、これは住宅デザインの大切なポイントです。