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設計編

カーテンはあとでいい?

 

前回、スタイル(様式)のことについて書きましたが、それに関連して私のパートナーでインテリアコーディネーターの安田倫子女史の体験をひとつ。

 

彼女が、以前あるカーテンメーカーのショールームで仕事をしていた頃、訪れてきたお客さん(女性)が、間もなく完成する新築の家に、バルーンカーテン(注1)をつけたいといわれました。

それでその住宅の写真を見せてもらったところ、そこに写っているのは、その方が希望されているカーテンの雰囲気とは全然異質なスタイルの住宅なのです。 

安田女史は、「この住宅には、ご希望のカーテンは合わないと思いますが・・・。」と申し上げたところ、お客さんは「やはりそうですか。」と落胆したご様子でした。

 

お話を聞いてみると、この方は、新しい家にはバルーンカーテンを吊るすのが夢だったということで、設計当初、設計士にカーテンについての希望を伝えようとしたところ、「奥さん、カーテンのことなどは一番あとでいいんです。住宅が完成してから、好みのものをつけたらいいんですよ。」と言って話を聞いてくれなかったそうです。

 

そして設計図ができ、施工業者も決まって、工事がどんどん進んで行きました。

そうしてでき上がりつつある住宅を見ると、ちょっと思っていたイメージとは違う感じで、どうもバルーンカーテンが似合いそうもないのです。

 

それで安田の勤めていたカーテンメーカーのショールームを訪ねて来られたのですが、もう完成間際ということで、今更建物の方を作り替えるわけにもいかず、時すでに遅しでした。

 

「どうして設計士は当初、私がカーテンの希望を伝えようとしたときに、それを聴いてくれなかったのでしょうか。その時に、話を聴いて、それに似合う住宅を作っていてくれたら・・・。」

そのお客さんは、目に涙を浮かべておられたそうです。

 

一般の方は、ご自分の希望される住宅スタイルの全体像を言葉で伝えることは、なかなかできません。

でもひとつひとつのエレメントについては、結構はっきりとした具体的な好みを持っておられるものです。

照明器具、玄関ドア、浴槽、キッチン・・・。

中でもカーテンについての好みは、その方がご希望されている住宅スタイルを、設計士が把握する手がかりとして、きわめて有効です。

 

もし設計士が、スタイルということについて関心と知識を有していたら、ユーザーが述べるカーテンの好みを聞くことは、そのユーザーが持っている住宅全体のスタイルの要望を知る上において、またとないチャンスだったのです。

しかし、この設計士は、それに耳を傾けようとしませんでした。みずからユーザーの要望を理解することを放棄したのです。

最低の設計士ですよね。でも、こんな人は多いのです。

 

ですから、皆さんが設計士に設計相談をされるときは、初回からカーテンの希望を述べてみてください。

その時、それに耳を傾けようとしない設計士は、自分のスタイル(たいてい独りよがりの)を押しつけようとしているか、そもそも住宅のスタイルということについて、なんの考え(知識)も持っていないかのどちらかですから、敬遠するのが無難です。

 

一方、熱心に耳を傾けてくれる設計士は、その話の中から皆さんの住宅スタイルについての好みと希望をつかもうとしています。

そのような設計士とならば、もっといろいろ話をしてみる価値があると思います。

 

 

(注1)バルーンカーテン・・・バルーンシェードとも言います。少し引き上げたときに、裾にふっくらとした風船(バルーン)のような丸みが出来るカーテンです。下の写真は、その一例。